2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変技術を用いた簡便で安定なマーモセットES細胞の開発
Project/Area Number |
19700370
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塩澤 誠司 Keio University, 医学部, 助教 (10447039)
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Keywords | マーモセット / ES細胞 / ジーンターゲティング / RMCE |
Research Abstract |
本研究課題において、コモンマーモセット胚性幹(cjES)細胞におけるジーンターゲティング技術を確立した。コモンマーモセットを含む霊長類のES細胞は、マウスのES細胞とは増殖や成長因子への応答性が異なり、培養や遺伝子導入が難しいためジーンターゲティングは困難であった。本研究課題ではRhokinaseの阻害剤がcjES細胞の培養を改善すること、及びリポフェクション法により効率よく遺伝子導入が可能であることを見出し、これらの知見を元にcjES細胞において初めてジーンターゲティングに成功した。ジーンターゲティング技術を用いれば任意の遺伝子に様々な変異を導入することが可能であり、極めて広範な応用が期待される。この技術を用い、β-actin遺伝子の内在性プロモーター支配下で緑色蛍光タンパク(EGFP)を発現する細胞株を樹立した。このES細胞から派生する全ての細胞は、恒常的にEGFPを発現するため、細胞移植実験の際にドナー細胞として有用である。更に、このEGFP遺伝子はIoxP及びIoxPV配列で挟まれているため、Cre組み換え酵素によるカセット置換(RMCE)によって、容易にEGFP遺伝子を任意の外来遺伝子に置換することが可能である。この反応によって実際に遺伝子置換が起こることを示し、単量体赤色蛍光タンパク(mRFP)を発現する細胞株の樹立に成功した。この遺伝子置換は可逆的であり、連続的に他の遺伝子に置換することが可能である。この細胞は、霊長類ES細胞の幹細胞生物学的解析において、極めて有用性の高いツールになると期待される。
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