2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型IgG抗体を産生する新規ヒト化NOGマウスの開発
Project/Area Number |
19700373
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
伊藤 亮治 Central Institute for Experimental Animals, 免疫研究室, 研究員 (60425436)
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Keywords | ヒト化マウス / B2細胞 / ヒト型抗体 |
Research Abstract |
重度免疫不全NOGマウスはヒト細胞の生着性が極めて高く、ヒト造血幹細胞を移入すると成熟したヒトT,B細胞が分化することからヒト免疫系疾患モデルとしての応用が期待されている。しかしながら現状NOGマウスに再構築されたヒト免疫系は、抗原特異的IgG抗体が産生されず極めて不十分であることが知られている。本研究ではヒトT,B細胞を正常に機能させるために重要なヒト遺伝子を導入したトランスジェニックNOGマウスを作製し、ヒト型IgG抗体を産生するヒト化マウスの開発を目的としている。 平成21年度は、前年度から継続して行ってきたヒト遺伝子(インターロイキン7:IL-7およびリンホトキシン:LT)導入NOGマウスの開発に従事した。IL-7 Tg-NOGマウスは、前年度に得られたファウンダー個体をNOGマウスと交配し、F2世代でNOG遺伝子背景への置換を終えた。これらへヒト造血幹細胞を移入し、4ヶ月後に免疫細胞の分化、生着を解析したが、IL-7 Tgとnon-Tgの間で有意な差は見られなかった。次にT細胞機能への影響を調べるためにTgマウスの脾臓からヒトT細胞を分離し、CFSEでラベルした後にCD3/CD28抗体刺激による増殖性試験を行った。その結果、non-Tgマウスで増殖したT細胞の割合は31.7%であったのに対し、IL-7Tgマウスでは60.1%のT細胞が増殖性を示した。この結果から、IL-7がヒトT細胞へ作用し、T細胞機能を亢進させる事が示唆された。これらTgマウスがヒトIgG抗体産生能を有しているかについては、現在検討中である。hLT-Tgマウスについては、前年度で得られたファウンダー個体をNOGマウス背景へ置換し、F3世代で同様のヒト造血幹細胞移入実験を行い、現在解析を継続している。今後、LT-Tgマウスへの抗原免疫を実施し、これらについてもヒトIgG抗体の計測を行って行く予定である。
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