2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700379
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 克昌 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80362664)
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Keywords | ラマン散乱 / 表面増強ラマン散乱 / レーザー顕微鏡 / 無染色イメージング / 振動分光 / 膜タンパク / 生細胞 / ケミカルイメージング |
Research Abstract |
本年度は、表面増強ラマン散乱による細胞膜タンパクの観察を試みた。ガラス基板上に約8nmの厚さの金を蒸着し、その上に付着させたアデニン分子からのラマン散乱を測定した結果、金薄膜が無い場合にくらべ、数桁のラマン散乱効率の向上を確認した。同じ条件で作成した金薄膜の上にヒト癌細胞を培養し、試作した近赤外光によるラマン散乱顕微鏡により観察した。試作した顕微鏡では、波長785nmのチタンサファイアレーザーを光源に用い、そのからのレーザー光により試料をライン照明することで、試料内の複数の部位からのラマン散乱を同時に検出し、時間分解能を向上させた。金薄膜上の生きた細胞の観察像では、細胞の接着斑と思われる部位で強いラマン散乱が得られており、細胞接着タンパク質の分布とよく似た分布が得られた。また、それらの部位では、アミノ基およびカルボニル基の振動に帰属できるラマン散乱ピークが強く観察された。これらはタンパク質を構成するアミノ酸に見られる構造であり、また金属表面の数十nmの領域でラマン散乱の増強効果が強く得られることから、本観察結果では、膜タンパクの分子振動が表面増強ラマン散乱により検出されたと考えられる。
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