2008 Fiscal Year Annual Research Report
力学的刺激に起因する細胞および細胞外基質の変形のマルチスケール解析
Project/Area Number |
19700381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 修一郎 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞・組織 / 再生医学 / バイオメカニスクス / 応用光学 / 第2高調波発生光 / コラーゲン / 細胞骨格 |
Research Abstract |
生体は力学的環境に適応して様々な生理応答を示すため, 個々の細胞がおかれている力学的な環境を把握することは重要である. 力学的刺激が組織レベルでは均一とみなせるでも, 個々の細胞には不均一に作用すると考えられるため, 組織-細胞-細胞内器官にわたるマルチスケール解析が必要となる. そこで本研究では, 伸展刺激による細胞外基質と細胞骨格の変形に着目して, その不均一性について検討した. 細胞外基質の変形を解析するために, コラーゲンを非侵襲・非染色的に観測可能な第2高調波発生顕微鏡を開発した. 従来法ではコラーゲンの動態を観測することはできなかったが, 本顕微鏡は同一コラーゲン線維の経時的な追跡が可能なため, 細胞外基質の変位をサブミクロンの空間分解能で定量化できる. 取得した画像は線維の特徴点を抽出が容易で, 2時刻間の特徴点の位置を対応させることにより細胞内器官スケールの変位場解析を実現できた. また, 細胞骨格を蛍光染色した画像をもとに変位場解析を行い, 細胞の変形を定量化した. コラーゲンゲル上に培養した内皮細胞を試料とし, 単軸伸展刺激の負荷過程の細胞および細胞骨格の変位場を解析した結果, ゲルを均一とみなした組織スケールと細胞骨格およびコラーゲン構造を考慮した細胞スケールとの違いが明らかになった. 観測結果をもとに作成した計算モデルを用いた変位場のシミュレーション結果も定性的に実験結果と一致した. 本研究で確立した細胞スケールの力学的刺激の定量化手法は, 細胞の力学的刺激受容応答機構を解明するうえで有用である.
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