2008 Fiscal Year Annual Research Report
声帯自励振動のメカニズムの解明とそれに基づいた声帯力学特性評価システムの開発
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19700382
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 真次 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 准教授 (30379713)
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Keywords | バイオメカニクス / 生体医工学 / 流体構造連成問題 / 自励振動 / 医療機器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発声の音源を成す声帯の自励振動の力学メカニズムを解明すること、そしてそこで得られた知見を、声帯疾患の診断に利用できるシステムを開発することである。まず、自励振動メカニズムの解明のために、声門における力学現象の解析モデル化を行った。声門を通過する高速流れの挙動、および自励振動が発生する条件を解析的に導出した。従来は、声帯のダイナミクスは実験の他には数値解析により記述されることが多かったが、本研究によって解析的に現象を説明することができたために、これに基づいて様々な現象の考察を行うことが可能となった。この解析的研究についてはバイオメカニクス関連の雑誌に論文発表を行った。続いて、前年度までに試作した、声帯に外部から空気圧力を負荷して声帯を変形させ、その応答から声帯の硬さなど、力学特性を評価できるシステムの改良を行った。ステッピングモータを利用して、任意の圧力を負荷できる装置を作製し、実際に正常発声者に対して性能評価実験を行った。圧力変化と声帯の硬さとの対応付けには、前記の解析的研究による知見を応用した解析を用いた。その結果、声の高さに依存して、声帯の硬さが変化することを示唆する実験結果が得られた。本内容の有効性評価試験結果を、耳鼻咽喉科学系の雑誌にて論文発表を行った。従来、声帯の力学特性は、麻酔下において、触診等により接触的に評価することが一般的である。本研究により、非接触的に外部から声帯の力学特性を評価することが可能な新しい診断システムを試作することができたために、今後の臨床への応用への可能性を実現化できる基礎を築くことができた。
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