2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700387
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 康方 Nihon University, 理工学部, 講師 (20424749)
|
Keywords | 低レイノルズ数流れ / 血液ポンプ / 羽根車翼素 / 翼周り流れ / 翼性能 / 拍動流 / 回流水槽 |
Research Abstract |
本研究では, 拍動流条件下の特殊な用途で使用される, 補助循環用定常流血液ポンプの羽根車に適した翼形状の開発を目的とし, 定常流および拍動流での翼の水力特性と翼周り流れの基礎的研究を進めてきた. 前年度に製作した回流水槽試験装置に独自に製作した逆支弁と拍動流発生装置および壁面静圧変動の計測が可能な50mm×50mmの矩形断面を有する測定部を用いることにより, 0.5Hz以上の周波数の拍動流試験が可能となった. 現存する血液ポンプの流入管と流出管の直径寸法10mm〜20mmに比べて遥かに大きいサイズを有する, 本装置のような水力特性の基礎データを取得するための拍動流試験装置は他に例がなく, 製作に予想外に多大な時間を要した. そのため, 翼の水力特性の十分な基礎データの取得には至らなかったが, 拍動流条件下での翼周り流れの詳細な現象解明のための強固な基盤が構築できた. 一方で前年度に引き続き数値解析による翼周り流れの解析を実施し, 拍動流では定常流に比べて1周期の拍動の間に平均的に前縁はく離が起こるが前縁から30%翼弦長付近までの翼面近傍の流れを改善することにより前縁はく離が防止され, 翼性能の改善が見込まれることを明らかにした. これにより航空分野で実用化されている翼の前縁スラットが1000〜10000程度の低レイノルズ数の拍動流においても有効であることが示唆された. 以上の成果を第16回遠心血液ポンプ国際会議で発表し, 軸流式羽根車の入口部に複数の小孔を設けた羽根形状を一案として提示した. また, 日本機械学会関東支部第15期総会講演会では, 独自の回流水槽試験装置と数値解析による拍動流条件下の翼周り流れの現象解明について発表し, 会場で拍動流現象の解明への期待と必要性が認識され, 本研究の意義が強まる結果となった.
|