2009 Fiscal Year Annual Research Report
透析器ハウジング形状が透析液流動に与える影響の検討
Project/Area Number |
19700388
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 健一郎 Waseda University, 高等研究所, 助教 (00434316)
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Keywords | 医用化学工学 / 透析器 / 流動解析 / 物質移動解析 |
Research Abstract |
血液透析とは、円筒状のハウジングに収められた約1万本の中空糸膜(内径約200μm、厚さ約45μm)からなる透析器を用いて、腎不全患者の血液中から病因物質を拡散・濾過させることで分離除去するプロセスである。透析器の性能は、使用される膜の溶質透過能だけでなく、血液と透析液の接触効率すなわち流動状態に大きく依存する。そのため、これを最適化し除去性能を高めることが重要である。本研究では、透析器ハウジング形状(バッフル、テーパ構造,透析液出入口部位など)に着目し、これが透析液流動に及ぼす影響について検討することで,高性能な透析器の設計についての指針を得ることを目的とする。 本年度は物質移動解析を中心に研究を進めた。流動解析には汎用有限体積法解析ソフトを使用した。中空糸充填部は、透析液流路の微小領域モデルを用いて計算した各方向の抵抗比率を算出した値に圧力損失の実測値を考慮することで表現した。物質移動に関しては、流動解析データを用いて計算したビタミンB12のクリアランスにより評価した。解析結果の妥当性を評価するために、ハウジング形状(テーパ構造)および中空糸充填率の異なる3種類の試作透析器を用いて水系において測定した実測値と比較した。その結果、膜充填部位の流体抵抗に実験値を考慮することにより透析液側圧力損失を精度良く推算できた。これに伴い、物質移動解析に関しても誤差は20%未満となり、従来に比べて高精度に推算することが可能となった。
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