2008 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化形成過程における単球及び血管内皮細胞PECAM-1の3次元分子動態解析
Project/Area Number |
19700391
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
橋本 謙 Kawasaki Medical School, 医学部, 助教 (80341080)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 単球 / PECAM-1 / 分子ダイナミクス / 浸潤 |
Research Abstract |
動脈硬化初期過程における単球の血管内皮細胞への接着及び内皮下への浸潤過程は病巣形成において非常に重要であるが, その分子機構には不明な点が多い. 本研究では, 単球及び内皮細胞の両者に発現する膜タンパクであるPECAM-1に着目し, その分子ダイナミクスを直接観察することを試みた. PECAM-1分子の細胞内末端に緑色蛍光蛋白(GFP)を付加したベクターを構築し, これをヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)に導入, 発現させた. これを用いて, 単球浸潤時の内皮細胞PECAM-1の分子動態を生細胞にて3次元連続観察を行った. 細胞間隙を通る浸潤(Paracellular route)では, 浸潤する単球を取り囲むように内皮細胞PECAM-1が再配置し, 両細胞のPECAM-1同士が結合していることが示唆された. また, 浸潤完了後〜20分程度にわたって, 浸潤スポットへの持続的なPECAM-1集積が認められた. この集積はFlow Cytometerを用いた定量解析でも同様に認められた. また, 特異抗体により浸潤及び接着をブロックするとこれらの集積が消失したことから, PECAM-1集積は, 単球由来の液性因子や, 単球の内皮への接着ではなく, 細胞間隙を浸潤してPECAM-1同士が結合することで初めて起こることが示唆された. 以上のようなPECAM-1の集積は, 細胞本体を通る浸潤(Transcellular route)では認められなかった. 現在, 両細胞のPECAM-1同士の結合によって同分子の膜への輸送が促進される分子メカニズムについて検討中である.
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Research Products
(9 results)