2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素計測の直接計測による腹膜透析患者の新規病態診断の開発
Project/Area Number |
19700392
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
高山 綾 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療技術学部, 講師 (60413514)
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Keywords | 生体工学 / 生体情報計測 / 腹膜透析 / 一酸化窒素(NO) / NOセンサ / 透析液 |
Research Abstract |
腹膜透析(CAPD)における腹膜機能の低下、すなわち腹膜中皮細胞の障害の原因の一つに、一酸化窒素(NO)の産生・代謝の異常が考えられているが、NOはラジカル分子として非常に反応性が高く、実際の計測に基づく動態評価は極めて困難であるため、NOの関与を解明・検証することは方法論的に困難であった。そこで本研究では、安定したNO計測を可能とするセンサーシステムを用いて、透析液中のNO濃度のモニタリング方法を開発し、CAPDにおけるNOの動態を明らかにして、腹膜機能の低下におけるNOの関与を解明し、機能維持あるいは改善を図ることを目的として、本年度は以下の計測方法の確立など基礎的な検討を行った。 1. 計測方法の基礎的検討:CAPD外来患者を対象としてCAPD透析液バッグ交換終了直後に排液を採 取し、サンプル中のNO濃度の速やかな計測を可能とするシステムを考案した。 2. CAPD透析液排液中のNOの直接計測:CAPD患者の透析液排液中NO濃度については、従来より、計測の報告がなくデータベースも存在しないため、複数のCAPD患者の排液中NO濃度を計測した。 3. NO酸化物濃度の計測:NOの濃度変化とNO酸化物濃度の変化とを比較し、動態の対応を検討した。 以上の結果から、NOセンサによるCAPD透析液のNO濃度計測が可能であり、またCAPD透析液中NO濃度は、腹腔内の滞留時間が長いほど高値を示し、腹膜組織およびその周辺組織からのNO産生が示唆された。
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