2008 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激に応答した表面上における生体分子の構造制御
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19700403
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
熊代 善一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (10401572)
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Keywords | タンパク質吸着 / フェリチン / 刺激応答 / 二次元結晶化 / 水晶振動子測定 / 原子間力顕微鏡 / フォースカーブ / 緩和時間 |
Research Abstract |
量子ドットを内包可能な籠型タンパクであるフェリチンの固体表面上での自己組織化による結晶化は、量子ドットを用いたデバイス作製の為のコストの低さ、作製設備の簡便さという観点から多くの関心を集めている。本研究では、外部刺激によってフェリチン吸着をON-OFF制御することを試みた。具体的には、温度応答性高分子鎖をフェリチンの外殻に修飾し、それらの挙動を観察することを目的とした。昨年までに、温度応答高分子鎖を修飾したフェリチンの温度に応答した吸着制御方法を確立した。 本年度は、昨年度の温度応答性高分子鎖がどのような挙動を示すかに関して、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースカーブ測定を用いてそれらの挙動を観察することを試みた。研究の目的には、bilayer法でフェリチン修飾AFMチップを修飾するとあったが、修飾チップを作製することが不可能であったため、まず、温度応答性高分子鎖が表面でどのような挙動を示すかというテーマに切り替え、測定を行った。その結果、表面に高密度に制御された高分子鎖はナノオーダーで表面に修飾されているにも関わらず、温度変化に対して緩和時間が数時間程度要することが分かった。一方、低密度で修飾した表面においては、温度変化に対して数分〜数十分程度の時間で変化することが明らかになった。このことから、溶液中では過敏に反応する温度応答性高分子であっても、表面上にグラフトすることによって、溶液中とは異なる挙動を示すことが明らかになった。本研究成果によって、温度応答性高分子鎖修飾法とそれらの表面上での経時変化観察法を確立した。尚、本成果により、2009 TAKAGI AWARD[(社)未踏科学技術協会]を受賞した。
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