2008 Fiscal Year Annual Research Report
スクラップアンドビルトに基づく、蛋白質と遺伝子を併用した線維症治療用材料の開発
Project/Area Number |
19700405
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
上田 寛樹 Hyogo University of Health Sciences, 薬学部, 講師 (70432325)
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Keywords | 再生医工学材料 / 薬物伝達システム / 線維症 / スクラップアンドビルド / 肺 |
Research Abstract |
本研究の目的は、コラーゲン性細胞外マトリックスの酵素分解(スクラップ)と正常な生体組織の再構築を方向付ける(ビルト)血管新生・組織線維化抑制・細胞死抑制に機能する細胞増殖因子・遺伝子の局所徐放を併用した、新規な線維症治療方法を開発することである。このような各過程を組み合わせた研究・治療例はこれまで皆無である。第2年度である本年は、ラットを用いた肺線維症モデルの作製、スクラップアンドビルドに基づく同モデルの治療実験、ならびに細胞外マトリックスの組織学的評価を行った。肺線維症モデルの作製は、先ず異なる薬量のブレオマイシンの静脈内投与により試みたが、死亡する個体が多かったため、気管内への溶液投与に変更し、肺線維症モデルラットを得た。次に、同モデルの肺線維化の解除を試みるため、異なる薬量のコラゲナーゼ溶液を同様に投与した。結果、部分的なI型コラーゲンの減少は見られたが、炎症による組織の傷害も認められた。コラゲナーゼ遺伝子やTGFR siRNAによる治療の可能性を検討するため、初年度に開発した複合型薬物担体にレポーター遺伝子を収着させ、経気管的にモデル動物の肺に投与した。また、再生を促すビルド過程の試みとして、肝細胞増殖因子(HGF)、あるいは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を収着したゼラチン粒子の投与を行った。結果、線維化に伴った上皮細胞の損傷・炎症などにより、有意な遺伝子の導入、あるいは肺組織の再生は得られなかった。しかし、複数の治療過程を複合するという本研究のコンセプトは、骨再生に応用した結果、単一因子による治療と比較して有意な組織再生の促進効果を示した。
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Research Products
(3 results)