2008 Fiscal Year Annual Research Report
転移性乳癌細胞を標的とした新規ドラッグデリバリーシステムの構築
Project/Area Number |
19700406
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児島 千恵 Osaka Prefecture University, 21世紀科学研究機構, 講師 (50405346)
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Keywords | 薬物送達 / ゲル / ナノ医療 / 高分子材料 / 乳癌 |
Research Abstract |
癌は現在死亡数のトップの疾患であり、その治療法の開発は不可欠である。そこで、研究代表者は転移性乳癌細胞を標的とした新規ドラッグデリバリーシステム材料の作製を行っている。本研究では、抗癌剤を担持したナノ粒子とコラーゲンからなるハイブリッドゲルを以下の通り作製した。^1H NMRスペクトルより、第4世代のポリアミドアミンデンドリマーの全ての末端にグルタミン酸とポリエチレングリコールを結合したデンドリマーを合成した。そのデンドリマーにヒドラゾン結合を介して33分子のアドリアマイシンを結合できた。結合したアドリアマイシンはpH7.4では切断されないが、pH5.5では切断されることがわかった。そして、このデンドリマーの95%以上を埋包したコラーゲンゲルを作製できた。 このハイブリッドゲル上に乳癌細胞を三次元培養し、細胞毒性を調べたところ、転移能が低いMCF-7細胞と比べて、転移能が高いMDA-MB-231細胞の方がより高い細胞毒性を示した。フリーの薬剤を包埋したコラーゲンゲルでは、いずれの細胞でも細胞毒性を示したのに対して、薬物結合デンドリマー包埋ゲルでは転移性癌細胞に対して選択的な細胞毒性を示した。培養皿上での細胞毒性は細胞間でほとんど変わらないことから、この細胞毒性の差異はコラーゲンゲルの分解によるものであると考えられる。つまり、転移性の低い乳癌細胞と比べて、転移性の高い乳癌細胞に対して高い抗癌活性が見られたと言える。 以上のことから、転移性癌細胞に対する新しいDDS材料の開発に成功した。
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