2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面機能性を有する新規温度応答性ナノミセルの分子設計と薬物キャリアへの応用
Project/Area Number |
19700407
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中山 正道 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 講師 (00338980)
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Keywords | 高分子ミセル / ブロックコポリマー / 温度応答性 / 表面機能化 / 薬物キャリア / pH応答性 / ドラッグデリバリーシステム / ポリ(ルイソプロピルアクリルアミド) |
Research Abstract |
Poly(benzylmethacrylate)(PBzMA)とPoly(N-isopropylaclylamide-co-N, N-dimetylacrylamide)(P(IPAAm-co-DMAAm))が連結したブロックコポリマーをRAFT重合により合成した(数平均分子量9000, monomer units : IPAAm/DMAAm/BzMA=21/12/13)。得られたブロックコポリマーの温度応答性高分子鎖末端のジチオベンゾエート基をアミノ分解でチオール基に置換した後、pHにより親水性/疎水性が変化するacryloyl sulfadimethoxine (SDM, pKa=6.2)基をマイケル付加反応により導入した。SDM末端を有するブロックコポリマーを用いて作製した高分子ミセルは約20nmの単分散な粒径分布を示した。各pHにおけるミセルの表面電位の違いを検討したところ、低pH側になるにしたがい、表面電位が消失していくことが明らかとなった。この結果は、ミセル表面のSDM基がプロトン化することにより、アニオン性から非荷電になったためであると考えられる。次にpH変化(pH8.5-5.0)にともなうミセルの温度応答性挙動の違いに検討した。pH応答性部位であるSDM基を表面に有するミセルでは、低pH側になるにしたがい、ミセルのLCSTが約39℃から約23℃の範囲で低温側に大きくシフトすることが明らかとなった。これは低pHになることで表面に存在するSDM基がプロトン化することにより荷電が消失し、疎水性になることでミセル外殻を構成するIPAAm誘導体の脱水和を著しく促進したためであると考えられる。以上の結果より、ミセル表面にpH応答性基を導入することで、pHにより温度応答性挙動を制御するマルチシグナル応答型の高分子ミセルを構築することが可能となった。
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