2007 Fiscal Year Annual Research Report
高いS/N比を有するSPRバイオセンシングを目指したセンサー表面修飾法の検討
Project/Area Number |
19700410
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内田 勝美 Tokyo University of Science, 理学部第一部, 嘱託助教 (50385514)
|
Keywords | バイオセンシング / 温度応答性高分子 / 相転移 / 高分子ミセル / シグナル増幅 |
Research Abstract |
本年度は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法により、温度応答性高分子ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)とポリスチレン(PSt)からなるブロック共重合体を合成し、表面プラズモン共鳴(SPR)測定基板表面上に固定化する高分子層として用いる、コアがPSt、シェルがPNPAAmの高分子ミセルを調製した。PNIPAAmおよびPSt分子量が異なる様々な組成を有する高分子ミセルを調製したが、いずれの高分子ミセルも単分散な粒径分布を示した。調製したミセル末端にラクトースを修飾し、ラクトースと特異的相互作用するレクチンを導入した際のミセルのLCSTシフトおよびミセルの相転移変化を、ミセルの分散-凝集変化を紫外可視吸光法を用いて観察することにより評価した。その結果、ミセル組成の違いにより、レクチンを導入した際のミセルのLCST変化量は大きく異なった。PStの分子量が大きいほど、PNIPAAmの分子量が小さいほど、LCST変化量は増加した。大きなLCST変化量を示した高分子ミセル(PNIPAAm;4KDa、PSt;1.6KDa)を用いて、ミセルにラクトースを修飾し、レクチンをミセル分散溶液に添加した際の吸光度変化を測定した。その結果、レクチンを添加することで吸光度は急激に変化し、添加後10分でほぼ平衡に達した。一方、BSAをレクチン濃度の10倍濃い濃度で添加しても、吸光度はまったく変化しなかった。また、レクチンによるミセル溶液の吸光度変化は測定温度により異なり、LCSTシフト領域の温度において、最も吸光度が変化した。これらの結果より、特異的相互作用を示す分子のみがミセル表面に結合した場合のみ、ミセルが相転移変化を生起しミセル同士が凝集すると示唆された。今後、このミセルをSPR基板上に固定化し、SPRシグナルの増幅効果に関して検討する予定である。
|