2008 Fiscal Year Annual Research Report
高いS/N比を有するSPRバイオセンシングを目指したセンサー表面修飾法の検討
Project/Area Number |
19700410
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内田 勝美 Tokyo University of Science, 理学部, 嘱託助教 (50385514)
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Keywords | バイオセンシング / 温度応答性高分子 / 相転移 / 高分子ミセル / シグナル増幅 / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
本課題は、リガンド分子を修飾した温度応答性高分子ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)をシェル、ポリスチレン(PSt)をコアとした高分子ミセルのターゲット分子結合に伴うPNIPAAmの下限臨界溶液温度のシフト、それによって誘起されるミセルの相転移変化を表面プラズモン共鳴(SPR)のシグナル増幅効果へ応用した高いS/N(シグナル/ノイズ)比を有するバイオセンシングシステムの構築が目的である。SPR金基板上にコンカナバリンA(Con A)を修飾し、この基板上にCon Aと特異的相互作用するマンノースを修飾した温度応答性ミセルを流した際のSPRシグナル変化を測定した結果、10℃におけるシグナル変化量は、マンノースを流した際の183倍、未修飾ミセルを流した際の58倍、30℃では、378倍および99倍であり、ミセルの相転移変化に伴うSPRシグナル増幅効果が顕著に現れ、高いS/N比を示す結果となった。一方、マンノース、マンノース未修飾ミセルを流した際のSPRシグナル変化量は、温度による影響はほとんどなかった。金基板上にアミノ基を導入し、カルボキシル基末端を有する温度応答性高分子ミセルをアミノカップリング法よりSPR基板上に固定化した。その結果、基板上にミセルを固定化でき、AFMでその固定化を観察した。ミセル固定化表面の温度変化させた際のSPRシグナル変化は未修飾金基板表面と比較して大幅に変化しており、ミセルの相転移による影響であると考えられた。また、固定化したミセルにマンノースを修飾した場合、さらにCon Aを修飾した場合の温度変化によるSPRシグナル変化を測定した結果、SPRシグナルが大幅に増幅する温度が両者で異なり、ターゲット分子結合に伴うミセルの相転移変化を確認できた。以上より、シグナル増幅機能を有する新規バイオセンシングシステムの構築に成功した。
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