2008 Fiscal Year Annual Research Report
早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術におけるナビゲーションシステムの開発
Project/Area Number |
19700421
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森田 圭紀 Kobe University, 医学部・附属病院, 助教 (60420460)
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Keywords | 早期胃癌 / 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) / MR内視鏡 / Augmented Reality(AR) |
Research Abstract |
本研究は、近年早期胃癌に対する内視鏡的治療法として急速な発展を遂げている内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)をより安全確実に行うために、病変の深達度診断のみならず、病変周囲の粘膜下層以深を走行する血管等を術前に認識・評価可能とすることによる、新たな治療支援技術の開発を目指した。 具体的には、軟性内視鏡に、計測量の多様性・空間領域の任意選択性・無被爆性などといった優れた特徴を持つMRIを組み合わせ、Augmented Reality(AR)技術による3次元画像の描出を目指した「MR内視鏡システム」の開発を進めた。すなわち、MRIの特性として、信号受信のためのRFコイルを撮像対象領域に近接させることで高SN比が得られるが、通常RFコイルは体外に設置されるため、治療の対象となる消化管壁の断層像においては空間分解能とSN比に限界がある。そこで鰍対応内視鏡の先端に小型RFコイルを取り付け、治療対象領域の詳細な断層撮像を可能とし、さらに体外に設置したRFコイルにて広範囲のvolume dataを取得し、画像化できるシステムの開発を行った。これにより病変深達度だけでなく、病変周囲の血管やリンパ節の情報も併せて3次元画像化することが可能となるものと考えられる。現在までにミニブタ切除胃、生体胃を用いて撮像を行い、従来のmodalityでは得られなかった壁構造及び固有筋層を貫く血管像の描出が可能であった。また、MR撮像で得られたdataをvolume renderingし、3次元表示を行うことも可能となり、ナビゲーションシステムとして利用できる可能性が示唆された。 実用化に向けての問題点として、コイルの小型化および感度特性の向上と、生体内で任意の部位にコイルを固定する技術開発が必要であると考えられ、さらなる研究を進める必要があると思われる。
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