2007 Fiscal Year Annual Research Report
上部消化管病巣の高空間分解脳イメージングのためのMR内視鏡システムの開発
Project/Area Number |
19700428
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松岡 雄一郎 Kobe University, 大学院・医学糸研究科, 学術推進研究員 (80372150)
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Keywords | 医療・福祉 / 低侵襲治療・診断 / MRI / 内視鏡 / 胃・食道イメージング |
Research Abstract |
本年度は、胃壁の層構造および血管描出を目的とした胃内腔へ挿入可能なRFコイルを試作し、動物(子ブタ)を用いた実験を行った。コイルは直径約40mmのサーフェス型とし、1巻き、2巻き、4巻きを作成した。1.5T-MRI装置での受信専用コイルとして調整し、まず死亡後のブタ摘出胃でMR撮像を行い、コイル素材によるアーチファクト、SNRなどを調べた。受信専用コイルとして機能すること、および巻き数の増加がSNRの向上に寄与することが摘出組織での実験で確認でき、動物実験では2巻きと4巻きを適用した。生体およびMR装置への安全のために、コイルはシリコン被覆で絶縁した。コイルは経口的に挿入し、食道内ではロール状に丸められ、かっ胃腔内では広がって胃粘膜表面を覆う構造とし、厚さ25μmのポリイミドシート上に厚さ18〜35μmの銅で形成されるフレキシブルタイプとした。気化麻酔下の動物へ内視鏡と共にコイルを挿入し、胃粘膜上へEVLデバイスで固定した後、内視鏡を取り除いてMRI撮像を行った。呼吸動によるアーチファクトを抑えるため、息止め下で撮像を行い、Fast Spin EchoによるT1強調像、T2強調像により胃壁の5層構造の識別、さらにはMR造影剤注入による血管造影撮像で、筋層内血管の描出を可能とした。胃粘膜下層にピアルロン酸ナトリウムを注入して粘膜下層を伸展させることで、粘膜下層内の血管描出も可能とした。スライス厚は3mmであるが、0.156mmの面内分解能を達成し得た。また胃外周の組織、例えば肝臓、肝臓内血管、胆嚢、腸管なども描出され、胃壁構造のみでなく、胃内腔から周辺組織の高分解能描出も可能であることが示され、MR内視鏡システムの適用範囲拡大の可能性が見出された。さらに3月には、食道用RFコイルの試作を行い動物実験で食道のMR撮像も行った。食道は心臓に近いため、心拍動のアーチファクト軽減やコイル形状の最適化など、まだ改善個所が多々あるが、食道壁層構造描出の可能性が示された。
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