2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞後の運動療法による麻痺回復と神経栄養因子に関する研究
Project/Area Number |
19700434
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榊間 春利 Kagoshima University, 医学部, 准教授 (10325780)
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Keywords | 脳梗塞 / 豊かな環境 / 運動 / 神経栄養因子 / 末梢神経障害 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
脳梗塞発症前の運動刺激が脳梗塞巣に及ぼす影響を調べることを目的に脳梗塞作成前のトレッドミル運動や豊かな環境での飼育を4週間行い、脳梗塞作成後の神経栄養因子の発現を組織学的、免疫組織化学的に観察した。豊かな環境は自発的に運動可能な車輪やはしごの入った550x450x400の大きさのケージを使用した。4週後脳梗塞を作成し、48時間後に脳組織や下腿の筋を採取した。豊かな環境での飼育は餌の摂取量に各群変化はなかったが、体重増加が有意に少なかった。また、豊かな環境での飼育はヒラメ筋湿重量の有意な増加を認めた。脳梗塞巣の体積に有意差は認められなかったが、豊かな環境での飼育は減少傾向にあった。神経成長因子ミッドカイン(MK)やNGFの発現が梗塞巣周囲に観察された。これらの結果より、脳梗塞発症前の豊かな環境での飼育は脳梗塞巣の大きさを縮小させるかもしれないことが示唆された。 さらに、今年度は中枢神経損傷だけなく、MKノックアウトマウスを使用して、末梢神経障害後の回復過程を電子顕微鏡や筋電図解析により観察した。マウスの坐骨神経をヒラメ筋進入部から約10mmの部位で凍結損傷すると2から3週の間に神経の再生が認められる。MKノックアウトマウスはワーラー変性がワイルドタイプと比べ遅れることにより、神経再生が遅延することが明らかとなった。 本年度は中枢神経障害前の運動刺激(特に自発的な運動刺激)における脳梗塞巣の変化と末梢神経障害におけるMKの働きを明らかにした。
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Research Products
(2 results)