2007 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニア対策としての熱刺激の有用性に関する実験的アプローチ
Project/Area Number |
19700437
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 治郎 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20380834)
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Keywords | リハビリテーション / 廃用性筋萎縮 / 熱刺激 / 熱ショックタンパク質 / 酸化ストレス / 骨格筋 |
Research Abstract |
【目的】本研究では、運動負荷による筋力トレーニングが適応できない高齢者に対する廃用性筋萎縮とサルコペニアの予防方法の開発を目的としている。具体的には、熱刺激により筋細胎内にHeat Shock Protein (HSP)70を誘導し、また酸化ストレスを抑制することができれば廃用性筋萎縮とサルコペニアの進行抑制効果が得られると期待して実験的研究を行う。今年度はまず若齢ラットを用いて廃用性筋萎縮の進行と酸化メトレスに対する熱刺激の効果を検討した。 【方法】7週齢Wistar系雄ラットを対照群と実験群に振り分け、実験群は両側足関節を最大底屈位の状態で14日間ギプス固定した。実験群はさらに固定のみの群(固定群)とギプス固定の過程で温水浴(42℃)による熱刺激を毎日1時間負荷する群(固定+熱刺激群)に振り分けた。実験終了後、両側の腓腹筋とヒラメ筋を採取し、各タイプの筋線維直径、HSP70含有量、酸化ストレスマーカーであるCuZnSODならびにMnSOD含有量を測定した。 【結果】(1)筋線維直径:各タイプの平均筋線維直径は各筋ともすべて固定群に比べ固定+熱刺激群が有意に高値を示した。(2)HSP70含有量:各筋におけるHSP70含有量は固定群に比べ固定+熱刺激群が有意に高値を示した。(3)酸化ストレスマーカー: CuZnSODは固定群、対照群、固定+熱刺激群の順に高値を示したが、有意差は認められなかった。MnSODは全群とも変わらなかった。 【考察】混合筋である腓腹筋、赤筋であるヒラメ筋ともに熱刺激による廃用性筋萎縮の進行抑制効果が認められ、その背景には熱刺激により発現したHSP70の作用が伺われた。酸化ストレスに関しては今回用いたギプス固定モデルでは十分な上昇が認められず、そのため熱刺激の効果を判断するには至らなかった。来年度の加齢ラットを用いた実験はモデルの再検討を行った上で進める必要がある。
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Research Products
(12 results)