Research Abstract |
本研究の目的は,前頭連合野の主要な機能であるワーキングメモリや目的に向けた計画という要素を含み,個人の能力や興味に合わせて自由に作成可能な,簡便で,院内でも利用しやすいリハビリテーション(目的志向的遅延反応訓練)を開発することである。本年度は,効率的で信頼性の高い課題内容を確立すべく,遅延時間,暗算レベル,興味など前頭連合野の機能に直結した項目を検索項目とする「検索機能」を完成させた。この検索機能では,検索項目ごとに課題を検索できることに加え,患者の訓練履歴に応じてコンピュータが自動的に訓練内容を選択し,患者の興味や現在の能力に最適化した内容を瞬時に提示できる機能を実現した。機能検証の結果,検索機能の追加は,興味・関心が明確でない場合でも,提示されたキーワードの中から検索することができ,患者の関心やニーズを引き出し,行動を起こすきっかけとして効果的に寄与できることが明らかになった。このように目的志向的遅延反応訓練を臨床場面でも汎用できる効果的な訓練として完成させることができた。また,本内容は国内特許権として出願した(題名:前頭連合野リハビリテーションプログラムおよび前頭連合野リハビリテーションシステム,発明者:竹田里江,特願2007-260201号,出願日2007.10.3)。さらに近日中に,外国での特許出願を行う予定である。 次年度は,目的志向的遅延反応訓練を行うことでの効果を,疾患別および障害脳部位別に,認知,精神,目常生活行動などを多面的から検討する,これによって脳部位別の行動特徴や,その特徴に対する効果的なアプローチを明らかにすることができ,前頭連合野のリハビリテーションの確立に貢献できると考える。
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