Research Abstract |
除神経後の早い時期から骨格筋の収縮弛緩速度は遅延する. その要因として, 筋細胞内膜系の形態変化に伴う興奮収縮連関の機能低下が指摘されている. 除神経後の骨格筋細胞では, 3つ組構造(triad)が崩れることでdihydropyridine receptor(DHPR)とryanodine receptor 1(RyR1)の位置関係が乱れたり, 通常観察されない5つ組(pentad), 7つ組(heptad)構造の出現が観察されたりする. しかし, このような筋細胞内膜系の構造変化に伴って, Ca^<2+>チャンネル自体の発現が変化しているか否かは不明である. 本研究では, 除神経後の異なるタイプの骨格筋細胞において, Ca^<2+>チャンネルmRNA発現量が変化するか否かを検討した. 8週齢のWistar系雄ラットの右側坐骨神経を切断し, 1時間, 24時間, 3日, 7日, 10日, 14日後にヒラメ筋(SOL)及び長指伸筋(EDL)を摘出した後, real-time PCR法を用いて, alsDHPR, RyR1, Junctophilin1(Jph1)のmRNA発現量を測定した. DHPRおよびRyRlmRNA発現量では, 除神経後3日目から増加し始め, 以後有意に増加した. またEDLに比べてSOLは有意に増加した. JPhlmRNA発現量は, DHPR, RyRlmRNA発現量と同様に除神経後3日目から増加し始め, 以後有意に増加した. DHPR, RyR1, JPhlmRNA発現量が同様のパターンで増加したことから, 除神経後はCa^<2+>チャンネルの増加と共にDHPRとRyR1の近接構造も増加していると推察された.
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