2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700448
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 圭司 National Research Institute for Child Health and Development, 第二専門診療部リハビリテーション科, 医長 (10376717)
|
Keywords | 高次脳機能障害 / 近赤外線分光法 / 脳血流 / リハビリテーション |
Research Abstract |
研究の目的は、(1)近赤外線分光法(NIRS)を用いた前頭葉機能評価の有用性の検討、(2)脳外傷による高次脳機能障害に対するNIRSを用いた前頭葉機能評価の有用性の検討の2つである。 対象は、何らかの高次脳機能障害を有する脳外傷者8名(平均年齢28.0±6.6歳、男7名、女1名)と健常成人20名(平均年齢27.8±6.6歳、男12名、女8名)である。 対象者に、2チャンネルNIRSを用いて、慶應版ウィスコンシンカードソーティングテストFS version (KWCST)を施行中の前頭葉の血流を測定した。課題の実施方法は図1の通りであり、20秒目を閉じる→20秒目を開く→60秒KWCST実施を計6回繰り返すブロックデザインとした。 対象者について、前頭葉の血流測定結果を図2に示した。健常者においては、酸素化ヘモグロビンが両側にて増加していた。一方で、脳外傷者では、両側で脳血流が低下していた。 脳外傷者と健常者を比較すると、右前頭葉において、脳外傷者の前頭葉の総ヘモグロビン量が有意に低下していた。これらの結果から、NIRSを用いた前頭葉機能評価の結果、健常人では、両側の前頭葉で酸素化ヘモグロビンの上昇を認め、NIRSを用いた前頭葉機能評価の有用性が示唆された。 脳外傷者の場合、両側の前頭葉で血流が低下傾向であり、右の前頭葉において、健常人と比較して有意な血流の低下を認めたことは、脳外傷によるびまん性軸索損傷などのネットワークの損傷による影響が考えられた。
|