2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700454
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中尾 和子 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (60351540)
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Keywords | リハビリテーション / 頭頂葉後部 / サル / 電気刺激 / 小脳核破壊 / 視覚始動性反応時間運動 / 正中神経 |
Research Abstract |
サルに手を使って視覚刺激に応じて、レバー上げ運動を多数回出来るように訓練し(視覚始動性反応時間運動)、反応時間(視覚刺激が提示されてからサルが手を動かすまでの時間:RT)がそれ以上速くならず一定になったところで小脳破壊前のRTを測定した。そのように訓練したサルの頭頂葉後部(PPC: posterior parietal cortex)の大脳皮質表面と2.0-3.0mm深部に慢性的に電極を埋め込む手術と、サル左側小脳の外側核および中位核を破壊する小脳破壊手術を行った。術後回復したサルに視覚刺激始動性反応時間運動を行わせ、小脳破壊後のRTを測定すると、片側小脳破壊と同側の手を使った視覚始動性反応時間運動のRTは手術前より130ミリ秒程度遅くなっていた。その後、小脳破壊と同側(左側)の手首あたりに一対の表面皿電極を設置し、正中神経に電気刺激を与えて視覚刺激始動性反応時間運動のRTが小脳破壊前まで回復するかを検討した。先ず、刺激時間0.1ミリ秒、刺激間隔0.8秒、母指が攣縮する強度の単発パルスで1日1回30分間刺激した。手術後最速のRTよりも速いRTを示したのは9回目の刺激後であり、その程度はわずかであった。その効果は次の日まで続かなかった。次に、刺激時間0.1ミリ秒、刺激間隔5秒、母指が攣縮する強度の単発パルスで1日1回1時間刺激した。手術後最速のRTよりも速いRTを示したのは4回目の刺激後であり、その程度は9.6ミリ秒であった。その効果は次の日まで続かなかったが、刺激を続けると7回目、8回目の刺激後にも10ミリ秒程度速くなった。正中神経の電気刺激は間接的にPPCを活性化させているため、わずかな改善効果が見られた程度であったが、刺激時間や間隔等の条件を変えて確かめる必要がある。さらに、PPCに埋め込んだ慢性電極を用いてPPCを直接電気刺激し、RTが改善する条件を探る予定である。
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