2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700455
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
浅井 剛 Kobe Gakuin University, 総合リハビリテーション学部, 助手 (50411880)
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Keywords | 歩行 / 二重課題 / 小型加速度センサ / 歩行分析 |
Research Abstract |
本研究は, Dual task下における視覚情報の変化と歩容変化に関する研究である。平成19年度は,歩行分析に関する文献検討を行い, 歩行動作の加速度波形に対する歩行分析プログラムの開発を行った。文献検討の結果,視覚情報の変化を含めた歩容変化の検討(アイマークレコーダを使用した歩行分析)に先立って, 視覚を固定した歩行分析が必要であると考え, 本研究ではアイマークを使用しないDual task下での歩行分析を行うこととした。平成20年度は, 作成した歩行分析プログラムを用い, 健常若年者(36名, 年齢 : 22.4±3.7歳)および健常高齢者(35名, 年齢 : 70,1±5.9歳)の歩行分析を行った。歩行動作の測定には3軸小型加速度センサ(MVPR-RFA3シリーズ : Micro Stone社製)を用い, 歩行中に生じた身体の各部位の加速度を計測, 解析を行った。加速度センサの取り付け位置は踵骨隆起部(背面), 体幹下部(腰椎第3棘突起), 体幹よ部(頚椎第7棘突起)とした。得られた歩行加速度波形から定常状態にあった歩行周期を抽出し, 歩容指標としてStride time Coefficient Variability(CV : 時間的ばらつきの指標), Gait Impact Variability(GIV : 力学的ばらつきの指標)などを求めた。歩行条件は自由歩行とDual task歩行の二条件とし, Dual taskには遂行機能(Executive Function以下EF)を反映するとされるStroop testの一種を用いた。その結果,健常若年者は, 自由歩行と比較して, Dual task歩行でCVが有意に増加していたが, GIVには有意な増加は認められなかった。一方, 高齢者ではDual task歩行でCV, GIVともに有意な増加が認められた。また, 高齢者ではGIVとその他の歩容指標との間に有意な相関関係が認められた。本研究の結果から, 若年者と同等の歩行能力を有する健常な高齢者であっても, 複数課題の同時処理が必要となる条件下では歩行動作の定常性が低下し, その結果生じた力学的ばらつきによって, 歩行安定性は低下していると考えられた。
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