2008 Fiscal Year Annual Research Report
立位姿勢制御に効果的に作用する足底部硬度弁別知覚課題時の脳活動に関する研究
Project/Area Number |
19700456
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
森岡 周 Kio University, 健康科学部, 教授 (20388903)
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Keywords | 立位姿勢バランス / 高齢者 / 知覚学習 / 脳活動 / fNIRS / 脳機能イメージング / リハビリテーション / 重心動揺 |
Research Abstract |
【目的】足底部硬度弁別知覚課題が, 60歳〜75歳までの前期高齢者および75歳以上の後期高齢者の立位姿勢バランスの安定化に効果的に作用するかについて, 無作為化比較試験(RCT)を用いて検証した. 【対象と方法】地域に在住する前期高齢者24名, ならびに施設に入所している後期高齢者14名が実験に参加した. その参加者を無作為に対照群, 硬度弁別知覚課題介入群(介入群)の2群に振り分けた. 介入群に対して, 異なる5段階のスポンジゴムを用い, 与えられたスポンジゴムの硬さを判断する課題を与えた. これらの介入を2週間計10回施行した. なお, コント「ロール群にはスポンジコム上で立位保持を10秒間求めた. 立位姿勢制御能の指標には, 重心動揺値, Functional Reach Testによる前方重心移動距離を用いた. 機能的近赤外分光法(fNIRS)を用い, 脳血流動態を捉え, それを脳活動の指標とした. 解析には, 酸素化ヘモグロビン(oxyHb)値を用いた. 介入前後の立位重心動揺値と前方重心移動距離値を比較した. また課題中のoxyHb値の変化をチャンネル毎に比較した. 同時にMRI画像に重ね合わせて脳マッピングを行い, 大脳皮質における活動領域を明かにした. 【結果】前期高齢者, 後期高齢者ともにコンロール群に比較して、介入群において立位重心動揺の指標である総軌跡長の有意な減少5(p<0.05)を認めた. また, 前方重心移動距離め有意な増大(p<0.05)も認めた. 一方, 脳活動に関しては, 共通して前頭前野背外側部のoxyHb値がコントロール群に比べ増加する傾向にあった. 【考察】この結果より, 立位姿勢バランスの安定化に対し, 足底部における硬度弁別知覚課題が前期高齢者, 後期高齢者問わず有効に作用することが判明した. 同時に, その課題時には前頭前野背外側部の活動が増加することから, 認知過程の一つであるワーキングメモリの活性化が促進され, その活性化が立位姿勢バランスの安定化に影響することが示唆された.
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