Research Abstract |
本研究では, ミラーセラピー, 運動イメージ, 他者運動観察中における脳神経活動をfNIRS(島津製作所製FOIRE3000)で記録し, 酸素化ヘモグロビン濃度を比較することが目的である。ミラーセラピーとは, 1側肢を対側肢の位置に合わせて設置した鏡に反射きせることにより, 鏡背面にある肢の運動がないにも関わらず運動しているような錯覚が生成されることである。ミラーセラピーの臨床応用の報告も幾つかされてきており, リハビリテーション領域では上下肢の運動障害の治療に応用されてきている。研究1では, 右利きの健康ボランティア30名を対象とし, 運動観察, ミラーセラピーによる運動学習効果を検討した。身体練習単独実施のグループに比較して, 運動観祭グループやミラーセラピーグループにおいて有意な運動パフォーマンス向上を認めた。また, fNIRS測定からは, ミラーセラピーグループに右運動前野領域の活性増加が観察された。研究2では, 運動観察と運動実行中の脳活動パターンの相違を検討した。家庭用ゲーム機器を使用した運動課題で, その課題観察中には運動前野や補足運動野の領域に有意な活動増加を認めたが, 1次連動野領域では活動増加がなかった。一方, 運動実行課題時では, 運動前野や補足連動野領域の活動はそのまま維持され, 1次運動野領域の活動増加を示した。このことから, 運動観察がすでに運動準備状態を形成するべく, 高次運動野を賦活していることが推察された。今後は, ミラーセラピー, 運動イメージ, 運動観察を使用したリハビリテーションめ臨床的効果を検討し, 運動障害治療における新たな治療戦略の提案ができればと考えている。
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