2008 Fiscal Year Annual Research Report
歩行機能再建に向けた受動歩行運動の脊髄神経機構に関する研究
Project/Area Number |
19700461
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
中島 剛 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 流動研究員 (60435691)
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Keywords | 受動歩行運動 / 脊髄神経機構 / 皮膚反射 / リハビリ |
Research Abstract |
歩行障害を中心とする移動能力の低下に対するリハビリテーションは近年急速な発展を遂げており、その一つの手法として体重を部分的に免荷した状況下で下肢の動作を補助し(受動歩行運動)、正常な歩要を再現する免荷式歩行トレーニングが歩行機能再獲得に向けたリハビリテーションの主流となりつつある。この背景には脊髄を含む中枢神経系が可塑的性質を持つことが明らかにされ、歩行機能再獲得が実現できる可能性が示唆されたことが大きい。歩行に関わる神経回路網(CPG回路)に可塑的変化を生じさせるためには、体性感覚受容器からの感覚情報が不可欠であることが報告されている。しかしながら、その基礎データとして、受動歩行運動がヒトCPG回路を駆動させるのか否かということについては不明である。また、どのような受動運動の状況下において効率的にCPG回路を活動させることができるのかという疑問についても末だわかっていない.そこで、本研究はヒトCPG回路駆動の指標となりつつある皮膚反射法を用い、歩行機能再建に重要な受動歩行時においてもCPG回路が駆動するのか否かについて検討した。その結果、受動歩行時においてもCPG回路駆動を反映する位相依存的な皮膚反射回路の興奮性動態が観察された。また、歩行に関連する感覚情報のうち、特に荷重に関連する情報がこれらの神経回路駆動にとって重要であることが明らかとなった。また、同様の結果が脊髄完全損傷者においても観察された。手のことは、歩行リハビリテーションの臨床現場においても十分応用は可能であり、例えば、1. 脚部への荷重を意識させること、や2. 実際に十分脚部へ荷重を加えること、で歩行に関わる脊髄神経回路網を駆動させ、効率のよい免荷式歩行トレーニングを行うことが出来ると考えられた。
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