2007 Fiscal Year Annual Research Report
小脳への経頭蓋磁気刺激を用いた錐体外路神経路の機能評価に関する研究
Project/Area Number |
19700481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
崎原 ことえ Waseda University, 人間科学大学院, 講師 (40423115)
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Keywords | 小脳 / 経頭蓋磁気刺激 / 錐体外路神経路 / 前庭脊髄路 / 外側前庭神経核 / 誘発筋電位 / ヒラメ筋 / 前庭電気刺激 |
Research Abstract |
本研究では小脳経頭蓋磁気刺激による下肢筋からの誘発筋電位が,前庭脊髄路を介していることを明らかにする。前庭脊髄路の起始核は外側前庭神経核であり、末梢前庭受容器からの一次ニューロンの興奮性シナプスが到達する。一次ニューロンをGVS法(前庭電気刺激)によって刺激し前庭核を賦活することができる。そこで本年度は、GVS法を用いて前庭脊髄路が賦活する条件下で小脳刺激による誘発筋電位の変化を検討し、誘発筋電位が前庭脊髄路機能を反映しているエビデンスを得ることを目的とした。 健常成人を対象とし、被験者に立位の姿勢を維持させた。左前庭核を賦活するために左乳様突起上に陰極、右乳様突起上に陽極を設置しGVSを行った。身体動揺の有無を指標として前庭核への適切な刺激条件を設定した。GVSを実施中に小脳刺激を行う条件をactive条件、GVSを実施せず小脳刺激を行う条件をcontrol条件とした。それぞれの条件下でヒラメ筋から表面筋電位を記録し加算平均した。 左小脳刺激による左ヒラメ筋の誘発筋電位のピーク潜時を条件間で比較すると、active条件(85、3±9.9ms、mean±SDがcontrol条件(89.9±11.3ms、mean±SD)と比較して有意に潜時が短縮した(p<0.05)。一方、GVS刺激の左右の陰極と陽極を入れ替えると潜時に有意な差は生じなかった。さらに右小脳刺激による右ヒラメ筋の誘発筋電位のピーク潜時では左刺激と同様にactive条件(84.3±13.1、mean±SD)がcontrol条件(88.6±13.3、mean±SD)比較して有意に潜時が短縮した(p<0.01)。 以上、前庭核賦活下では小脳誘発筋電位のピーク潜時が有意に短縮し、この誘発反応には前庭脊髄路が関与していることが示唆され、非侵襲的かつ定量的な非錐体神経路の機能評価法の確立に向けて直接的なエビデンスが得られた。
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Research Products
(3 results)