2009 Fiscal Year Annual Research Report
「他者との身体的地盤を生成する体育」の理論的根拠に関する研究
Project/Area Number |
19700488
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石垣 健二 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20331530)
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Keywords | 体育学 / 体育哲学 / 間主観性 / 間身体性 / 人間形成 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,他者とのづくりを促進するための教科として「体育」を措定し「自己-他者」間において身体的地盤が生成する理論的根拠を明らかにすることであった. 本年度前半には,「他者との身体的地盤」という本研究の最も重要なキーワードを,哲学・心理学その他の領域で論じられる「間主観性」および「間身体性」の概念にもとめながら,それらに関わる文献を分析した.結果として,それら領域において考察されるのは人間の「心」を射程にした間主観性の議論が中心となっていること,他者との身体的地盤が成立する根拠を探究するためには,身体を射程にした間身体性に注目しなくてはならないことが明らかになった.とはいえ,身体あるいは間身体性を問題にすることは次のような問題をはらむこととなる.つまり,それを論じるための方法論が検討される必要性あること,体育学独自の領域として措定される必要があることである.この内容については,『体育と間主観性・間身体性の問題』として,体育学会体育哲学分科会において発表するとともに,『体育哲学研究』に掲載される予定である. また,本年度後半には,他者との身体的地盤ということと「人間形成」との関係を省察することも重要な課題となってくる.このことについて,友添秀則氏の『体育における人間形成論』について書評する機会を得た.そこでは,彼の人間形成論に身体形成(身体的地盤の生成)の次元が抜けおちていることを指摘した.この内容は『スポーツ教育学研究』に掲載された. これら上述した内容は,国際スポーツ哲学会(シアトル)に参加した際,外国人研究者にその内容の是非について参考意見として聴取している.国際スポーツ哲学会については,『世界のスポーツ哲学と日本の体育・スポーツ哲学』が『体育・スポーツ哲学研究』に掲載された.
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