2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハンドボール競技における個人戦術能力の運動学的構造分析
Project/Area Number |
19700509
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
栗山 雅倫 Tokai University, 体育学部, 講師 (80408004)
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Keywords | ハンドボール / 戦術的能力 / コーチング / 運動学的構造 / 運動の再現性 / トレーニング |
Research Abstract |
1、動機、目的 競技力を客観的に評価することは、トレーニング手段を設定していく上で不可欠である。その競技力の決定因子としては、体力的要素やメンタル的要素、そして技術的要素のほかに、戦術的な要素もあげられ、競技種目特化の評価指標を持つことは、合目的的なコーチングのためには急務であるといえる。 そこで、本研究では、ハンドボール競技における個人戦術能力を科学的な見地で評価するために、個人レベルの戦術的運動経過を主体としてみた、運動学的な構造を明らかにすることを目的とした。具体的には、攻撃における個人の防御突破場面での構造分析と、防御における突破に対する個人行動の構造分析を行うものとした。特に今年度は、総括の意味もあり、競技者のニーズに目を向けた調査も行った。また、戦術的能力の構造を検討する上で重要と思われる認知能力の実験的調査も実施した。 2、主な結果及び考察 (1)戦術的指導の有用性 データの検討により、戦術的指導の有用性が示唆された。イメージの提供のビジュアル化による、パフォーマンスへの貢献の期待度の高さがうかがえた。 (2)認知能力の重要性 状況を認知する能力がパフォーマンスと関連があることが示唆された。また、パフォーマンスの決定要因である戦術的能力と認知能力、さらに観察能力との相互の関連性が示唆された。 3、まとめ 平成20年度までに、戦術的能力の客観的指標作りとして、対人関係を含む運動経過の定量化をはかり、再現性の重要性などが見られたほか、戦術的指導の有効性についても示された。21年度では認知的能力とパフォーマンス、戦術的能力との関連も見出すことが出来た。 これらより、戦術的能力の運動学的な構造を多角度で検討した結果、戦術学習におけるパフォーマンスへの貢献が期待され、今後のさらなる検討の可能性が合目的的コーチングにつながることが示唆されたことは意義深い。
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