2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化するバスケットボール界のスポーツ労働移住
Project/Area Number |
19700514
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Research Institution | Asai Gakuen College |
Principal Investigator |
千葉 直樹 北翔大学短期大学部, 准教授 (20389662)
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Keywords | スポーツ / バスケットボール / グローバル化 / 社会学 / 移民 |
Research Abstract |
平成22年度には、平成19年度に行ったNBAコミッショナー、デビッド・スターン氏へのインタビュー調査を研究雑誌に公表した。また11月に北米スポーツ社会学会でMigratory motivation of American Professional Basketball Players in the worldという研究題目で学会発表を行った。さらにJBLというバスケットボールリーグに所属するアメリカ人選手へのインタビュー調査を行った。日本のJBLに所属したアメリカ人バスケットボール選手へのインタビュー調査から、全ての選手が母国よりも高い給与で安定した条件の契約を重視して日本のチームを選んだことが分かった。彼らの移住傾向は、新古典派経済理論に基づき説明できることが明らかになった。新古典派経済理論では、(1)労働者の国際移住は、国家間にある賃金格差に起因する、(2)賃金格差の消失は労働者の移動を終わらせる。移住はそのような格差のないところにおいて起こらない、と想定している。NBAのチームと契約できないアメリカ人選手は、将来の生活に備えてヨーロッパやアジアのチームと契約を交わす。NBAのマイナーリーグと比べて、ヨーロッパとアジアのリーグは多額の報酬を提供することから、彼らの移籍はリーグ間にある賃金格差が原因になっている。またプロバスケットボール選手は、ある種の高度熟練労働者であり、非熟練労働者の移住とは異なる点がある。さらに、bjリーグコミッショナー、河内氏へのインタビュー調査を行い、JBLとbjリーグの統合の見通しやbjリーグの理念と各チームの収益の状況について聞き取りを行った。2013年に向けたリーグ統合は、現実的には難しく、交流戦などを行うことはあっても、完全に統合したプロリーグになることは難しいという見解であった。bjリーグは、設立時から「グローカル&コミュニティ」を理念の一つに掲げ、地域密着したチーム運営とグローカルなバスケ文化の発信を狙いにしてきた。各チームの独特の演出方法は、グローカルなチーム運営という理念に基づき行われてきたことを確認した。
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Research Products
(2 results)