Research Abstract |
スキージャンプ選手を対象として, 足圧分布計測装置を用いた踏切動作のシミュレーショントレーニングに取り組んでいる。この装置は, 動作中の足圧分布と圧力中心点を解析することにより選手の足底の加圧感覚を定量化することができ, さらに視覚的・即時的なフィードバックを可能にする。 本研究では, 選手・指導者が動作の「タイミング」を視覚的に捉え共有するために, 「実ジャンプの映像」を利用し, トレーニングの効率化を図ることを第1の目的とした。また, トレーニングと並行して3次元動作解析を行い, 選手における踏切動作の技術分析を行い, 技術獲得過程について検討し, 指導・トレーニング時の基礎資料を得ることを第2の目的とした。 昨年度は, 男子シニア選手3名を対象としたトレーニングを実施した。その結果, 動作中の足圧分布と足底の加圧感覚ともに, 撰手間で差異が認められた。これらの差異をバイオメカニクス的観点より検討したをころ, 優れた競技成績を持つ選手に合理性が認められた。また, アンケート調査により, 選手への情報提示にスクリーン映写を用いることに否定的な意見を得た。 今年度は, 男子シニア選手2名と女子シニア選手3名を対象として, 同様のトレーニングを実施した。さらに, 昨年度の課題を考慮し, 選手への情報提示にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いることを試みた。その結果, 昨年度と同様に, 動作中の足圧分布と足底の加圧感覚ともに, 選手間で差異が認められ, 優れた競技成績を持つ選手に合理性が認められた。また, HMDを用いることにより, スクリーン映写を用いた際の動作および足圧分布との相違がみられた。アンケート調査では, 本研究のトレーニングに肯定的な評価を得ることができた。 本研究により, 撰手の身体感覚がスキージャンプ技術およびそのパフォーマンスに反映することが示唆された。今後もトレーニングおよび資料収集の継続が求められる。
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