2007 Fiscal Year Annual Research Report
シミュレーションと実験とを併用したヒト骨格筋内の局所応力ならびに局所変形の解明
Project/Area Number |
19700519
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小田 俊明 The Institute of Physical and Chemical Research, 生体力学シミュレーション特別研究ユニット, 協力研究員 (10435638)
|
Keywords | 有限要素法 / シミュレーション / 筋腱複合体 / 生体組織 / 力学的特性 / ひずみ / 応力 / 適応 |
Research Abstract |
本研究は,有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションとin vivo実験とを併用することで,実験的に計測することが困難であるヒト骨格筋の運動やトレーニング時の局所応力や局所変形の状況を明らかにし,これらのスポーツ障害との関連性,ならびに,その後に生じる適応による筋形状や筋機能の変化との関連を検討することを目的としている.当該年度においては,まず,MRIから得た形状情報を基に下腿三頭筋の線形,ならびに非線形の筋腱複合体3次元有限要素モデルを作製し,モデルにおける計算結果とin vivo実験より得られた全体形状の変化や組織の長さ変化との比較を行うことでモデルの妥当性を確認した.次に,受動的なストレッチング時に組織に生じる応力とひずみを算出することで,腱膜組織が存在することの機能的意義を明らかにした.また,同モデルを用いることで伸張性収縮時の筋腱複合体の応力とひずみ分布に1)個体差や適応による腱組織の物性の変化が与える影響,ならびに,2)収縮強度による筋組織の物性の変化が与える影響を検討した.その結果,1)では,腱組織が柔らかいことで筋・腱組織への損傷が減少する程度を定量的に検討できた.2)では異なるトレーニング強度を組み合わせることでトレーニング効果が変化する原因を力学的な観点から示唆することができた.現在,開発中である筋線維の収縮により内力を発揮し短縮を生じることが可能なモデルについても方法論は確立できつつある.上記既発表のいずれの成果も,これまでの実験計測のみを主体とした方法論では得ることが非常に困難なものであり,これらの成果は高い独自性をもつ.
|