2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋線維の肥大時における筋核小体増加のメカニズム追及
Project/Area Number |
19700521
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 史倫 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (90346156)
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Keywords | 骨格筋肥大 / 27kDa heat shock protein / ヒラメ筋 / 後肢懸垂 |
Research Abstract |
筋核小体増加中に発現が増大する因子として、骨格筋肥大時における27kDaheatshockprotein(HSP27)のリン酸化動態変化を追究した。ウィスターハノーバー雄ラット(14週齢、n=25)をコントロール群(n=15、うち実験前群n=5)と後肢懸垂群(n=10)に分け、後肢懸垂群には7日間の尾部懸垂を実施した。懸垂群のうち半分(n=5)のラットは、懸垂終了後に懸垂を解除し5日間床上で回復させた。実験前または懸垂終了時、回復5日後にそれぞれの群からヒラメ筋のサンプリングを行った(各時点n=5)。摘出筋は、生体内長にストレッチした状態で凍結し、半分からは凍結横断切片を作成し組織化学解析を行い、残り半分はホモジナイズし細胞質分画および筋原線維分画タンパク質を抽出した。組織化学解析およびウェスタンブロット法によるHSP27発現解析の結果、後肢懸垂による筋線維萎縮に伴い細胞質分画におけるリン酸化HSP27発現が減少し、回復時には筋線維の肥大に伴いリン酸化HSP27発現は増大した。また、筋原線維分画には通常リン酸化HSP27の発現は見られなかったが、肥大時には顕著な筋原線維分画への移行が認められた。横断切片における抗体染色においても、肥大時にはリン酸化HSP27が強発現する筋線維が多く認められた。HSP27の総発現量は後肢懸垂やその後の回復によっては影響されなかった。リン酸化HSP27が細胞骨格の保護等に役割を果たすことが報告されており、筋線維肥大時には筋原線維分画移行によりサルコメアの保護や構築等に関与した可能性が考えられる。
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