2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋収縮時の内圧上昇に対する骨格筋細胞応答とその分子機構の解析
Project/Area Number |
19700525
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
森田 憲輝 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (10382540)
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Keywords | 圧力 / 筋細胞 / メカニカルストレス / myogenesis |
Research Abstract |
【研究課題の背景および目的】骨格筋収縮時に活動筋組織の内部には筋内圧が生じている。この圧力刺激の作用については筋芽細胞において代謝の活性化が生じること以外ほとんどが未解明であり, 本研究課題はこの圧力という機械的刺激の骨格筋細胞への影響を生化学的に検討するものである。本年度は前年度に得られた「筋細胞の成熟(分化) に対する圧力刺激の抑制作用」について検証を試みる。また, 圧力刺激の作用機序の解明のために, 広範囲の遺伝子発現への作用を定量的に検討できるPCR Arrayを用いて応答する遺伝子を探索する。【方法】骨格筋細胞は培養骨格筋筋芽細胞L6を用いた。細胞への圧力は160mmHgの定常圧力を1日に3時間, 4日間連続負荷した。細胞形態の評価はギムザ染色によって, 蛋白質発現の解析はImmunoblotting法を用いて実施した。PCR ArrayにはSABioscience社のRT^2Profilerを用いた。【本年度の研究結果】(1) 成熟(分化)への作用 : 骨格筋筋芽細胞への圧力刺激は, 3日目の段階で融合した細胞数を減少させた。myosin重鎖タンパク質発現も圧力刺激によって1日目に減少がみられた。(2) 作用機序の解明の試み : 代謝や免疫, 細胞増殖などに関連する84遺伝子について圧力刺激の影響について検討した。免疫および炎症応答関連因子であるCTLA4, CD28, HMOX1などに有意な応答がみられた。【考察および総括】筋芽細胞が筋管細胞に分化する過程における圧力刺激負荷は, 細胞の融合反応および収縮タンパク質であるミオシン重鎖発現を抑制した。これらの知見および前年度に得られたmyogenin発現抑制等を考慮すると, 圧力刺激は分化応答を抑制していると強く考えられる。また, 圧力刺激によって免疫関連因子の遺伝子発現が変化することについては, 今後その意義を明らかにすべきと思われる。
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