Research Abstract |
本年度は,包括的健康行動介入を行う上での基礎研究として,運動行動,食行動,および睡眠行動を取り上げ,児童が,どのような健康行動のパターンを示すのかを明らかにし,それらの健康行動のパターンと心身の健康とがどのように関連しているのかを検証した。その結果,児童における健康行動の実施パターンは,不適切食事型,不活動型,不健康行動型,睡眠問題型,および健康行動型の5つに分けること力弐できた.このことから,児童における種々の健康行動は,単純な比例関係にあるのではなく,相互に複雑な関連を持つ,もしくは独立していることが明らかになった.上記5つの型と健康状態の関係について検討した結果,不健康行動型の児童は,他の型を示す児童に比べて,不定愁訴,怒り,抑うつ,および不安のすべてにおいて低い得点を示した.これに対して,健康行動型の児童は,ほとんどの健康因子に関して,他の型の児童に比べて,高い得点を示した.また,不適切食事型,不活動型,および睡眠問題型の児童の間では,全ての健康因子について,相互に有意な差は認められなかった.これらの結果から,運動行動,食行動,および睡眠行動の全てにおいて好ましくない傾向を示す児童は極めて健康状態が悪く,逆に全てにおいて好ましい傾向を示す児童は極めて良好な健康状態にあることが分かった.さらに,単独の健康行動のみが好ましくない場合は,健康行動型の児童に比べ,その健康行動の種類に関わらず,一様にやや健康状態が悪いことが明らかになった.最も良好な健康状態にあるためには,全ての健康行動(ここでは,運動行動,食行動,および睡眠行動)を実施していることが重要であり,不足している健康行動を他の健康行動で補えるものではない可能性も示唆された.
|