2008 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期プログラミング仮説の疫学的検討-胎内環境が児の出生後の発育に及ぼす影響-
Project/Area Number |
19700540
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒川 修行 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30431505)
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Keywords | 胎内環境 / 出生体重 / コホート研究 |
Research Abstract |
本研究では、胎内環境が児の体格、特に体重はどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。 検討にあたっては、2001年1月から開始された「ダイオキシン類等による胎児期曝露が幼児の発達に及ぼす影響の前向きコホート研究」(主任研究者 : 佐藤洋、東北大学大学院医学系研究科教授)のデータを用いた。昨年度は、本研究で使用する項目(児の身長・体重の推移、対象者の基本特性、社会経済的要因、妊娠期における食生活状況等)のデータベースが構築された。本年度は臍帯血中PCB濃度や水銀濃度に関するデータも統合され、データの精査が概ね順調に推移し、児の発育に影響を及ぼす要因を明らかにするための解析を進められた。対象コホート研究では在胎週数が35週に満たない場合、また児の出生時体重が2400g未満の場合等、いくつか対象除外基準を設けているため、687組の母児の登録があったが、本研究の基本的なデータである出生時体重、臍帯血中PCB濃度および食事調査のデータを保有する児は465名(男児243名、女児222名)であった。 対象児の出生体重は平均で3031.5gであり、女児に比し、男児で統計学的に有意に大きい値を示した。母親の妊娠前の体重およびBody Mass Index(BMI)や妊娠期における魚摂取量が児の出生時体重と正の相関関係が認められた。また、臍帯血中PCB濃度と児の出生時体重との間に負の相関関係が観察された。しかし、既報の成績で報告されている妊娠中の喫煙や飲酒と出生時体重の間に統計学的に有意な関連性は認められなかった。 本研究の結果から、胎児期におけるPCBばく露が出生時体重に影響を与え、将来の肥満形成と関係することが示唆された。
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