2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の認知機能に及ぼす身体活動・運動の影響に関する前向き研究
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19700550
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Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
安永 明智 Bunka Women's University, 現代文化学部, 講師 (30289649)
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Keywords | 中高齢者 / 身体活動 / 認知機能 / 前向き研究 / 加速度センサー付き歩数計 / 記憶検査 |
Research Abstract |
我が国において、高齢者の身体活動・運動が認知機能に及ぼす影響について調査した研究は比較的少ない。加えて、そのほとんどは、対象者の身体活動を調べるために、自記式または聞き取り法によるアンケートが用いられているため、どのように工夫しても精度上の問題を払拭することができない。したがって、身体活動の多少や定期的な運動実施の有無が高齢者の認知機能の維持に重要な役割を果たすということが明らかにされても、どの程度の量や質の身体活動を行うことが高齢者の認知機能の維持にとって最適なのかを推定することは非常に困難である。そこで本研究は、中高齢者の認知機能に及ぼす身体活動・運動の影響を、客観的に測定された身体活動量をもとに前向き研究デザインによって検討し、中高齢者の認知機能を維持するために必要な日常身体活動に関する定量的かつ具体的な指針を作成することを目的として研究を推進した。平成20年度は、平成19年度の調査参加者を対象に認知機能の追跡調査を実施して、その変化に及ぼすべースラインでの身体活動量の影響を検討した。分析の結果から、ベントン視覚記銘検査得点の変化率とべースラインでの対象者の中強度(3METs)以上の活動時間には、中程度の負の相関関係が認められ、活動時間の少ない中高齢者ほどベントン視覚記銘検査得点の低下率が大きいことが明らかにされた。また、認知機能が低下していた中高齢者は、低下が認められない高齢者と比較して、歩数で測定されたべースラインでの日常身体活動量が約1000歩程度少なかった。本研究の結果は、学術雑誌に投稿準備中である。
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