2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織の熱産生機能覚醒を目指した細胞応答不均一性の解析と分化転換に関する検討
Project/Area Number |
19700551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 幸子 Osaka University, 医学系研究科, 特任研究員 (30348784)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 単一細胞分析 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
褐色脂肪細胞を標的とした肥満予防効果に関する研究は、多くのデータが集積され始めている。しかし従来の研究では、生体全体のエネルギーバランスを操作する事象が重要視され、褐色脂肪組織丸ごとのエネルギー消費容量を測定することができれば十分な成果が得られたものと判断されてきた。一方で、組織を構成する脂肪細胞の不均一性があるため、これらの研究では生体のエネルギー状態に応じて変化する脂肪細胞の適応過程の本質を捉えるには不十分である。本研究では、褐色脂肪組織に含まれる脂肪細胞について個々に解析し、細胞の多様性を詳細に検討することを目指す。 褐色脂肪細胞は貯蔵された中性脂肪を酸化分解し熱として散逸する。この褐色脂肪細胞による熱産生は細胞内に豊富に存在するミトコンドリアの機能に由来する。しかし、細胞内に存在するミトコンドリアの数は個々の細胞の成熟度などの違いによって異なる。したがって本年度は、単一褐色脂肪細胞のミトコンドリア数に焦点を絞り、マイクロ流体デバイスを利用した測定法の確立を目指した。ミトコンドリアの擬似試料として、外径1μmの蛍光粒子を内径2μmのキャピラリーを利用し泳動することで、その個数を計測することに成功した。また、細胞一個を捕獲・培養・破砕するマイクロ流体デバイスを開発した。さらに、これらの技術を組み合わせ、細胞一個のミトコンドリア数の測定を試みた。この単一脂肪細胞測定法を用いた解析から、従来の細胞集団実験や固定された組織の観察では得られなかった情報が得られることが期待される。
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Research Products
(2 results)