2008 Fiscal Year Annual Research Report
「連携」概念を用いた家政学の新しい専門性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19700563
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 陽子 Tottori University, 地域学部, 講師 (60403367)
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Keywords | 家政学発達史 / 社会事業 / 日本女子大学校家政学部 |
Research Abstract |
本研究は、公私にわたる福祉や社会の支援主体(機能)相互の連携とネットワークづくりの現状と課題を明らかにし, 福祉や教育主体の運営にあたって求められる連携に関わる家政学の新しい専門性とその形成方途を明らかにすることを目的としている。 そのため, 平成20年度は(1) 家政学における「連携」概念を歴史的視座から明らかにすることを目的に取り組んだ。戦前期における女子高等師範学校および家政系女子専門学校の地域の社会事業や教育に対する活動に着目し, 具体的には, 日本で社会事業が成立したとされている1910年代後半から戦中までの期間東京女子高等師範学校と日本女子大学校, 計2校の家政系学部を研究対象とした。生活困窮層の増大, 米騒動や関東大震災などの社会不安の増大という社会背景のなか, 家政系学部として, いかに社会問題へ取り組んでいかのか, その取り組みのなかには医療や教育, 社会事業などのほかの諸機関との連携はあったのかなどについて, 両校の沿革史や当時の雑誌新聞記事から明らかにした。 この結果, 日本女子大学校は上記したような社会的な活動に熱心に取り組んでいたことが明らかになった。この活動は主に卒業生団体桜楓会によって担われ以下3点のような特徴がみられた。これらの活動は, 1) 当時日本女子大学校家政学部長であった井上秀のリーダーシップのもと展開された2) 当時日本女子大学校で行われていた家政学の教育や研究を実践活動に移した, 3) 家政学の有用性を社会的に認知させた。 しかしながら, 未だ「連携」概念や連携状況を明らかにするには至っていない。継続して研究をすすめたい。なお, 上記した研究成果は現在執筆中である。
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