Research Abstract |
本研究は,1歳児数名を3年間にわたり縦断的に観察することを通して,対象となった幼児及びその幼児とかかわる幼児が,ままごと遊びにおいてどのようなスクリプトを表出し,さらにそのスクリプトを理解し,受け入れ,互いの共通概念としていくかについて,その過程を捉えることを目的としている。3年間の継続研究により,1歳代,2歳代,3歳代,各年齢時のスクリプトの共有の様相を捉え,幼児期のスクリプトの共有化過程を明らかにする。以上の研究により,自明のこととして共有されているスクリプトの共有化の過程を捉えることになり,生活文化が綿々と受け継がれ,広がっていくメカニズムについての資料を提供する。 初年度である平成19年度においては,下記のとおり,研究を実施した。 1. すでに撮影が終了しているままごと遊びの映像のうち,平成16年7月から平成17年3月までに撮影されたものについて,1分毎の動画ファイルに分割し,DVDに収録した。この動画ファイルの作成により,映像の正確な反復視聴を可能にした。 2. 分割した動画ファイルを反復視聴し,1歳代のターゲット児がままごと遊び時に行った発話と行為を文字化した。このとき,ターゲット児を中心として,その幼児と関わって遊んでいる幼児の発話・行為についても詳細に記述した。 今後は,動画ファイル及びプロトコルを用いて,ターゲット児及びターゲット児と関わって遊ぶ幼児のスクリプトを捉え,1歳代の共有の過程を明らかにするとともに,さらに2歳代,3歳代についても順次動画ファイルの作成,プロトコルの作成,統計的処理ならびに分析を行う予定である。
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