2008 Fiscal Year Annual Research Report
グループワーキング手法を取り入れた介護労働従事者の負担軽減に関する研究
Project/Area Number |
19700573
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
松田 文子 The Institute for Science of Labour, 研究部, 特別研究員 (40399340)
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Keywords | 人間工学 / 介護労働 / 作業負担 / 職場改善 / グループワーク / 負担軽減 / 参加型改善 |
Research Abstract |
介護サービス業界・団体・組織は、規模や雇用形態の多様性から横のつながりを持ちにくく、介護者労働従事者間の情報交換の場が少ない。本調査研究では、同業人でありながら、日頃、まとまって業務課題を討議する場の少ない、経験豊富な介護労働従事者らに、そうした機会を設けるプロジェクトに実験的参加を募り、その実践性効果の検証を行うことを目的とするものである。具体的には、グループワーキングアプローチにより、介護者同士のスキルの確認、その標準化、改善対処の方法について情報交換を行う機会に参加してもらうことと同時に、より快適に働ける作業手順・労働環境を、その自らの職業経験から取りまとめ、改善実践していく方法の有効性について検証を行う。対象は、富山県の3か所の老健・特養・デイサービスを併設する複合高齢者介護施設の従事者22名であった。訪問により現状視察,対象者らへのヒアリングを経て、日常業務での課題事項の抽出を行った。各回のグループワーキングでは、対象者の健康状態,勤務上の蓄積的疲労状況を質問紙調査により実施し、全プロジェクトの前後には、独自に開発した介護労働意識調査票を用い、その意識の変容の様子を把握した。約5か月にわたるグループワーキングと健康調査等の結果を踏まえ、その特性からみた介護者の労働意識との関連性について、これまでに明らかとなった知見について分析した。全体的には精神的健康尺度での変動の大きさが目立ったち、介護意識の変化では、「時間の長短」,「リスク評価」,「利用者とのコミュニケイション」において、負担感が軽減する方向での変化が生じていた。プロジェクトの過程で、参加者からはグループワークでの改善実践の課題自体が負担になるとの意見もあったが、総じて多くは、日頃、思ってはいてもできなかった事柄、改善事項を解決できたことへの充実感を得ており、本手法の一定の有効性および課題が確認された。
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Research Products
(2 results)