2008 Fiscal Year Annual Research Report
母親の食事に対する母乳中の成分変化と乳児の嗜好性の関連
Project/Area Number |
19700578
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 助教 (40381917)
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Keywords | 母乳 / 授乳婦 / 乳児 / 匂い / 嗜好性 / におい識別装置 / FACS / 食傾向 |
Research Abstract |
島津におい識別装置FF-2Aで得られた母乳の匂いパターンは、母乳と市販人工乳、牛乳との比較では、母乳同士と牛乳同士はそれぞれ個体間やメーカー間での違いは小さかったが、人工乳はメーカーによる差が大きく加工方法や添加物による違いによると考えられる。 母児の基礎データ(母親の年齢、体格指数、児の月齢)と、母乳中の主要成分、母乳の左右、哺乳量、島津におい識別装置FF-2Aで得られた母乳の匂いパターンの間には規則だった傾向は認められなかった。母親の摂取栄養素量と母乳の匂いパターンにも一定の関連性は認められなかった。しかしながら、普段の食事傾向が脂質の少ない母親が、脂質の多い食事をした場合に食事の変化のなかった群と匂いの質(類似度)が異なっていた。さらに、普段の食事傾向が脂質の多い場合と少ない場合では、試験食のカレーを摂取した前後の匂い類似度の変化の様子が異なることが観察された。また、母親の摂取食品数が多い場合には、試験食摂取前後の臭気指数(匂いの強さの尺度)の変化が小さい傾向にあった。 乳児の嗜好性評価方法の検討では、哺乳量、授乳時間・哺乳行動時間での関連性をみたが、これらのみで嗜好性を評価することは困難であった。乳児の表情をビデオ撮影し、表情観察を行ったところ、試験食摂取の後の授乳において嫌悪感を表す眉と上まぶたを下げる動きが観察された児では、母乳の匂いの類似度変化パターンが表情変化の観察されなかった群の変化パターンと異なっていた。EACSでの感情判定には口元の筋肉の動きが重要視されているが哺乳時には口元の動きは利用できないため、複数の指標での検討が必要だと思われる。
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Research Products
(6 results)