2007 Fiscal Year Annual Research Report
食事脂質の必須脂肪酸バランスの制御による生活習慣病予防に関する研究
Project/Area Number |
19700587
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
池本 敦 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (60295615)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / アラキドン酸 / 脂肪細胞 / 筋細胞 / 分化 / メダボリック症候 / α-リノレン酸 / リノール酸 |
Research Abstract |
必須脂肪酸にはn-6系列及びn-3系列の2つの系列があり、n-6系列のアラキドン酸は強い活性の炎症性メディエータに変換されるが、n-3系列のエイコサペンタエン酸(EPA)はこれらに対して抑制的に作用するので、炎症性疾患の予防には必須脂肪酸バランスが重要となる。一方で、n-3系列のドコサヘキサエン酸(DHA)はPPARなどの転写因子を活性化することで、細胞分化に影響する。本研究では、生活習慣病の予防に重要な脂肪細胞と筋細胞の分化に及ぼすn-6及びn-3系列多価不飽和脂肪酸の影響を解析した。マウス由来3T3-Ll細胞の脂肪細胞への分化には、n-6系列脂肪酸は影響を与えないが、n-3系列のDHAは強く抑制することを見出した。抑制メカニズムとして細胞内に取り込まれたDHAが脂肪酸結合タンパク質(FABP)と結合してある種の転写因子を抑制し、中性脂肪合成に必要なステアロイルCoA還元酵素(SCD)の発現を強く抑制することが関与していた。また、ラット骨格筋由来筋芽細胞であるL6細胞の筋細胞への分化は、n-6系列のアラキドン酸が抑制する一方で、n-3系列のDHAは促進することが見出された。一方で同じn-3系列のα一リノレン酸にはこのような効果は見られなかった。したかって、n-3系列の長鎖多価不飽和脂肪酸であるDHAが脂肪細胞への分化を抑制する一方で、筋細胞の分化を促進し、生活習慣病・メタボリック症候群の予防に有効であることが示された。現在、これらの現象が個体レベルで成り立つかどうかを動物実験で検証中である。
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Research Products
(3 results)