2009 Fiscal Year Annual Research Report
食事脂質の必須脂肪酸バランスの制御による生活習慣病予防に関する研究
Project/Area Number |
19700587
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
池本 敦 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (60295615)
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Keywords | n-3系列脂肪酸 / n-6系列脂肪酸 / ドコサヘキサエン酸 / インスリン / 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / 食事バランスガイド / 脂質バランスガイド |
Research Abstract |
脂質の摂取量の増大が肥満やメタボリック症候群の原因となるだけでなく、必須脂肪酸バランスという質的側面が生活習慣病予防に重要であることを基礎的研究で明らかにすることで、生活習慣病予防のための食事脂質に関する栄養学的基盤の形成に寄与することを目的とした。また、得られた知見を食生活に生かしていく実践的方法論や学校教育への導入法を確立することを試みた。必須脂肪酸が細胞分化に及ぼす影響を解析した結果、n-3系列脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)が脂肪細胞の分化を抑制する一方で、筋肉細胞と骨芽細胞の分化を促進することが確認された。マウスを用いた給餌実験では、飽和・一価不飽和脂肪酸やn-6系列脂肪酸を与えた群と比較して、n-3系列脂肪酸を与えた群では、血清中性脂肪・コレステロール及びインスリン濃度が有意に低下していた。また、内臓脂肪量が低下するとともに筋肉重量が増加しており、培養細胞での結果とよく一致していた。一方で、マウスの骨量に及ぼす影響は本研究では測定できなかったのが今後の課題である。これまでn-3系列脂肪酸は抗炎症・抗アレルギー作用が知られていたが、以上のように、本研究により間葉系幹細胞の分化を制御することで、メタポリック症候群や生活習慣病の予防に寄与することが示された。これらの知見及び「日本人の食事摂取基準2005年版」を参考にして、摂取目標となる必須脂肪酸量を設定し、「食事バランスガイド」に準拠した「脂質バランスガイド」を作成した。これを中学校家庭科の授業で学習教材として導入して利用性を検証しところ、生徒は必須脂肪酸バランスの重要性や食事の目安をよく理解し、教材として有用であることが確認できた。
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Research Products
(5 results)