2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系発生を中心とした母体の脂質栄養改善に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19700591
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
山本 達朗 Nayoro City University, 保健福祉学部, 助教 (90379389)
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Keywords | n-3 PUFAs / 脂質栄養 / 大脳皮質 / 神経回路網 / 神経新生 |
Research Abstract |
母体が摂取する脂質栄養の質の違い(n-3/n-6比)が,胎児および乳児の脳発達にどのような影響を与えるかについて検討した。本年度は,n-3系多価不飽和脂肪酸欠乏食摂取母体の胎児および乳児を適当なステージおいて採取し,胎生期から離乳期までの脳重量および脂肪酸組成の変化について経時的な観察を行った。その結果,胎生期においてn-3欠乏脳が正常脳に比べて重量が軽い傾向にあるがあることがわかった。このことは,適切な脂肪酸を供給されない場合に,胎児の脳発生が低形成もしくは遅延することを示唆していると考えられる。このような発達異常が'その後の脳神経発生に与える影響について検討するために,神経回路標識法を用いて生後21日目(離乳期)のラットの大脳皮質層構築(第II、III層および第V層)を調べた。その結果,皮質層構築には異常は見られなかった。また,これらに加えて大脳皮質層特異的マーカー分子による免疫組織化学を行ったが,これにおいても大きな異常は観察されなかった。この結果は,胎生期に置ける時期特異的な皮質構成ニューロンの発生にn-3系PUFAsは関与していないことを示唆している。現在は,妊娠後11日目,13日目,15日目にBrdUを投与することにより,神経細胞の誕生時期を標識する方法を用いて,脳内脂肪酸組成が神経細胞発生時期特異的に影響を与えていないか,また,各時期に誕生する細胞の種類(神経細胞なのかグリア細胞なのか)について詳細な検討を行っている。
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