2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害性オゾンによる炎症・細胞死誘発活性と食品成分による抑制機構解析
Project/Area Number |
19700592
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三好 規之 University of Shizuoka, 食品栄養科学部, 助教 (70438191)
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Keywords | 酸化ストレス / 分析化学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
近年,強力な活性酸素種のひとつであるオゾン(O_3)が生体内で生成されることが報告され,動脈硬化病巣やアルツハイマー脳でオゾン酸化コレステロールが検出されたことから,動脈硬化や神経変性疾患,さらには呼吸器系疾患など過剰な酸化ストレスにより誘発される種々の疾病への関与が注目されている。しかし強力な酸化力を持つがゆえに不安定な活性酸素種であるオゾンによる酸化的ダメージ及び細胞死誘導機構に関しては,細菌や植物での報告はあるが,ヒトにおいては呼吸器系培養細胞を用いた検討を除き十分明らかにされていない。本研究では,生体内で最も豊富に存在する中性脂質であるコレステロールのオゾン酸化物に注目し,化学的,生物学的解析を行うことを目的とした。平成19年度は,オゾン酸化コレステロール(atheronal-A,-B)のdansyl hydrazineを用いた誘導体を調製し,HPLC分析によるatheronal-A,-Bの高感度検出法を確立した。さらにヒト白血病細胞HL-60細胞へのatheronal-A,-Bの暴露によって,濃度・時間依存的な細胞内活性酸素種の生成が認められた。またatheronal-A,-BはHL-60細胞に対して濃度・時間依存的な細胞毒性を示し,これは報告のある細胞毒性を有する酸化コレステロールの中で最も強力な活性であった。さらにatheronal-A,-Bによって誘導された細胞死はDNAの断片化,核凝集,カスパーゼの活性化を伴うアポトーシスであった。このことはatheronal-A,-Bが非常に強力な炎症反応惹起活性を有していることを示唆している。このことから現在,様々な炎症関連疾患のバイオマーカー候補として,生体内での発生部位・機構および生物活性について詳細な検討を行っている。
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Research Products
(2 results)