2007 Fiscal Year Annual Research Report
三大栄養素が鉄の吸収・利用におよぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
19700593
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 ゆき子 Kyoto Prefectural University, 人間環境学部, 助手 (10381930)
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Keywords | 栄養学 / 鉄欠乏性貧血 / 鉄欠乏ラット / キシロオリゴ糖 |
Research Abstract |
鉄欠乏性貧血は世界中で頻発している栄養失調である。これまで鉄欠乏性貧血の治療につながる体内に吸収されやすい鉄素材や鉄化合物が数多く報告されてきたが,食事中に鉄と共存する栄養素が及ぼす影響についての研究は少ない。そこで本研究では,鉄と同時に摂取する三大栄養素が鉄の吸収と利用に対する影響について解明することを目的とした。平成19年度は,炭水化物の1種であるキシロオリゴ糖について検討した。 (1)キシロオリゴ糖摂取における鉄の吸収率および体内保有率に対する評価 7週齢SD系雄性ラットに20%カゼイン食(C群),2%中性キシロオリゴ糖混合食(X群),2%酸性キシロオリゴ糖混合食(UX群)を2週間与え,鉄出納試験を行った。実験1週目,UX群はC群より鉄吸収率が有意に上昇し,酸性キシロオリゴ糖が鉄の吸収促進に役立つ可能性が示された。実験2週目,鉄吸収率は全食事群で有意差は見られなかったが,実験終了時のUX群の小腸粘膜DMT1mRNA発現量は,他の食事群より有意に低値を示し,鉄と同時に酸性キシロオリゴ糖を摂取しても,鉄充足状態ではDMT1発現量などの調節機構が働き鉄過剰となるリスクは低いと考えられた。 (2)鉄欠乏性貧血回復期における酸性キシロオリゴ糖の有用性に関する研究 4週齢SD系雌性ラットに3週間鉄無添加食を与えた後,20%カゼイン食(DC群),鉄無添加食(DD群),2%酸性キシロオリゴ糖混合食(DUX群)を2週間与え貧血回復の程度を比較検討した。また5週間20%カゼイン食を与えた群をコントロール(C群)とした。DUX群は5日目の血清鉄濃度がC群と同程度まで回復し,酸性キシロオリゴ糖添加食は鉄欠乏からの回復が早いことが示唆された。実験終了時の小腸粘膜DMT-1 mRNA発現量は,DUX群はDD群に比べ有意に低く,C群やDC群より低い傾向を示し,腸粘膜での十分な鉄の取り込みがみられた。
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Research Products
(2 results)