2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系の発生、構築、維持における必須脂肪酸の役割
Project/Area Number |
19700603
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
宮澤 大介 Kinjo Gakuin University, 薬学部, 助教 (70434553)
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Keywords | 栄養学 / 細胞・組織 / 脂質 / 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
必須脂肪酸はリノール酸(LA、18:2n-6)、α-リノレン酸(ALA、18:3n-3)があり、これらは動物体内に取り込まれると、LAはアラキドン酸(AA、20:4n-6)に、ALAはエイコサペンタエン酸(EPA、20:5n-3)、ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6n-6)に変換される。脳神経系は他の臓器、組織と比べてDHA含量が高く、重要な機能を担っていると考えられている。また神経栄養因子は神経細胞の生存や神経突起の伸長に重要な役割を持っている蛋白質である。 雄性ICRマウス(5週齢)に5%のベニバナ油(High-LA)或いはシソ油(High-ALA)を添加した精製飼料(日本Clea)を4週間与えた。線条体の総脂質画分の脂肪酸組成をガスクロマトグラフを用いて測定した。High-LA群ではDHAは9.9%であるのに対しhigh-ALA群では16.7%と約1.7倍存在した。またn-6/n-3比もHigh-LA群では1.2であるのに対しhigh-ALA群は0.7であった。 ELISA法で線条体のBDNF含量を測定したところHigh-LA群で74pg/g striatumであるのに対しHigh-ALA群で124pg/g striatumと有意に高く約1.6倍量であった。 線条体の総脂質画分の脂肪酸組成の変化は餌の脂肪酸組成を反映した結果によるものと考えられる。これまでに餌のn-3系列脂肪酸を欠乏させると脳機能に様々な影響がでることが明らかとなっている。今回の研究でもn-3系列脂肪酸が欠乏食でBDNF含量に低下していることから必須脂肪酸のn-6/n-3バランスが脳機能に影響を与えるメカニズムとしてBDNFが関与している可能性が示唆された。今後はBDNF受容体下流のシグナル伝達や神経発生について検討していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)