2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化物による細胞老化メカニズムと細胞内抗酸化系
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19700605
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
山中 裕佳子 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 助手 (80434934)
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Keywords | 細胞老化 / 脂質過酸化物 / 抗酸化 / チューブリン / 細胞膜 |
Research Abstract |
実験目的としては、in vivoでの研究を目指し、リン脂質過酸化物が動物細胞にどのような影響があるかを細胞膜並びに抗酸化系に注目し実験計画を立てた。本年は、リン脂質過酸化物(PO)を添加した培地でのPC12細胞への細胞体・細胞膜およびチューブリン-微小管系への影響を検討した。PC12細胞は、神経成長因子を添加すると分化して神経突起を伸展させるため、分化前細胞と分化後細胞の両方への影響を検討した。まず、具体的方法としては、細胞体の生育状態を位相差顕微鏡により観察した。すると、50μMのPOを添加すると分化前細胞では細胞数の減少が見られたが、生細胞も多数確認された。しかし、分化後細胞では、同じPO濃度を添加すると添加する前には伸展していた神経突起の崩壊が見られた。また、細胞が凝集しており、多くの死細胞が確認された。このことより同じPO濃度の添加でも分化後細胞のほうがより損傷をうけやすいことが観察された。次に、WST-8法により、細胞の生育割合を測定した。すると分化前細胞ではPO70μM以上で生育割合が減少しており、分化後細胞ではPO50μM以上で生育割合が減少した。次にPO添加による細胞膜への影響をみるために、LDH活性測定法により膜損傷率を算出した。LDH活性測定法は、乳酸脱水素酵素を測定する方法で、細胞に障害を受けると培地中にLDHが逸脱するため、細胞膜に損傷を受けた細胞の割合を算出することができる。この方法で膜損傷率を算出すると、分化後細胞では、PO濃度依存的に膜損傷が見られた。分化前細胞では高濃度のPO添加で膜損傷が見られた。これらの結果より、細胞は細胞膜に損傷を与えて、細胞生育ならびに形態維持に障害をあたえていると考えられた。また、分化前細胞と分化後細胞を比較すると、分化後細胞のほうがより損傷を受けていることから、POのターゲットは神経突起に多く存在している微小管であることが示唆された。
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